犬にも人間と同じようにたくさんのツボがあります。ツボマッサージは、健康の保持・増進を図るだけでなく精神的な疲れや不安の解消などメンタルにも作用します。もちろんマッサージだけで問題行動をなおすことはできませんが、しつけの中にうまく取り入れることで、問題行動の改善につながるものと考えます。ここではその一部のツボと効能をご紹介します。
目の上の出っ張りの内側、人間のまゆ毛の目頭側の部分にあるツボです。このツボを刺激することで、ストレス解消とリラックスを促し、落ち着きを失っている犬を落ち着かせることができると言われています。親指と人差し指をツボにあて円を描くように軽く指圧してみましょう。犬が吠えるのには必ず理由があります。不安や警戒が理由で吠えている場合は、飼い主がわんちゃんとの信頼関係を築けていないことが多いようです。まずしっかりとした信頼関係を築くための方法を学ぶことが大切です。
丹田とはツボではなくおへそ下あたりの部位を指します。体のエネルギーの中心であり、心の中のイライラをここに降ろしてしまっておく働きがあります。指の腹で円を描くようにやさしく撫でてみましょう。しつけの基本は、飼い主と愛犬との信頼関係を築くこと。安心して飼い主に体を預けられるようにすることが重要です。その為には、ホールドスチールやマズルコントロール、タッチング等の方法論を学ぶことも有効です。これらのトレーニングの中に、この丹田のマッサージも取り入れてみてはいかがでしょうか。
前肢の手首の付け根にある小さな肉球の下(手首側)で親指側のくぼみにあるツボです。このツボは副交感神経の働きを活発にして、イライラや不安感からくるストレスを緩和させます。精神を安定させる作用があり、分離不安症などに効果があると言われています。小型犬は綿棒などを使って、中型犬や大型犬は人差し指を使って指圧してみましょう。留守中にトイレ以外の場所でオシッコしたり、モノを壊したり、帰ってくるまで鳴き続けたり、このような問題行動は「分離不安」から引きおこされます。出かける準備を悟られないように工夫したり、出かける前に思いっきり遊ばせて疲れさせるといった対処療法も有効ですが、わんちゃんが飼い主への過度な愛情で依存し過ぎないような接し方を学ぶことも大切です。
指の爪の生え際にあるツボで前肢後肢全ての指にあります。このツボを刺激すると交感神経が高まり集中力の向上を促すと共に、心も体も元気になると言われています。前後左右の指一本づつを親指と人差し指で挟むように刺激してみましょう。しつけをする際には、わんちゃんが、飼い主の言葉や行動に対して集中力を保てることが重要です。犬の集中力は5分くらいしか続かないとも言われています。わんちゃんが集中力を高められるコンディションや環境の作り方、指示を出すタイミングやアイコンタクトの取り方などを正しく学ぶことが大切です。わんちゃんに飼い主に対する集中力が備わってさえいれば、しつけはそれほど難しいものではありません。